Czapek、ジュネーブの原点「ケ・デ・ベルク」に新旗艦店をオープン
Czapek(チャペック)は、ブランドの歴史が始まったジュネーブの湖畔、ケ・デ・ベルク27番地に新たな旗艦店をオープンしました。
ここは、19世紀にフランソワ・チャペックが時計師としての名声を築き始めた場所。約2世紀の時を経てその原点へ帰還した新しいブティックは、Czapekの歴史を振り返るだけでなく、メゾンが描く未来を体現する空間でもあります。

時計製造の歴史が息づく、ケ・デ・ベルク
ケ・デ・ベルクは、Czapekにとって単なる住所ではありません。
1830年のワルシャワ蜂起の失敗を受けてジュネーブへ逃れた、チェコ生まれのポーランド人時計師フランソワ・チャペックは、1839年、同じポーランド人の時計師とヴェルソワ出身のパートナーとともに、ケ・デ・ベルク29番地に最初の会社を設立しました。
湖畔に構えられたアトリエでは、その後6年間にわたり、当時を代表するオート・オルロジュリーのタイムピースが生み出されました。1845年に共同経営者たちと袂を分かつと、フランソワ・チャペックは同年5月1日にCzapek & Cieを設立。やがてパリのヴァンドーム広場に時計ブティックを開き、時代を代表する時計師のひとりとなりました。

かつてのジュネーブ、ケ・デ・ベルク © notrehistoire.ch
それから約2世紀。2015年に情熱ある起業家や時計愛好家たちの手によって復活したCzapekは、ブランドの物語が始まった湖畔へと帰還しました。
新しいジュネーブ旗艦店は、原点への回帰であると同時に、未来へ向けた新たな一歩です。それは、「未来を築くための最良の方法は、自分たちが何者であるか、その原点にしっかりと根ざし続けること」というメゾンの信念を表しています。
時計を販売する場所ではなく、対話が生まれる場所

ケ・デ・ベルク27番地のブティックでは、Czapekが所有する店舗として初めて、デザインエージェンシーのLive Teamsとともに開発した新しいストアコンセプトが採用されています。
このコンセプトは2023年末からCzapekの正規販売店コーナーに導入されてきましたが、ブランド専用ブティックとして全面的に具現化されるのは、今回のジュネーブ旗艦店が初めてです。
そのデザインは、従来の時計販売店とは大きく異なります。来店者と時計を隔てるカウンターはなく、空間の中心に置かれているのは共有テーブルとオープンなディスプレイです。
訪れた人は自由に時計を眺め、腰を下ろし、自分自身のペースでコレクションと向き合うことができます。そこでは時計の売買ではなく、時計を通じた「対話」が中心となります。

CzapekのCEO、ザビエル・デ・ロックモーレルは、新しいブティックについて次のように語ります。
「最初のコレクションに“ケ・デ・ベルク”という名前を付けたときから、ケ・デ・ベルクに旗艦店をオープンすることは、長年抱き続けてきた当然の夢でした。ここは、チャペックだけでなく、ジュネーブにおける近代時計製造そのものが始まった場所でもあります」
かつてジュネーブの時計職人「キャビノチェ」たちは、自然光を取り入れながら街の喧騒を離れて仕事をするため、湖岸沿いの建物の上層階に工房を構えていました。新しいブティックには、そうしたジュネーブの時計製造文化への敬意も込められています。
歴史と現代が交差する「時計芸術のギャラリー」

店内では、歴史あるジュネーブの街並みを思わせる荒々しい石壁に、アメリカンウォールナットの家具とミッドナイトブルーのアルカンターラが組み合わされています。
温もりのある木材、長い年月を感じさせる石、そしてCzapekを象徴する深いブルー。それぞれの素材が調和し、時計を単なる商品ではなく、芸術作品として鑑賞できる落ち着いた空間をつくり上げています。

空間を象徴する作品が、ポーランド生まれの国際的アーティスト、オスカー・ジータによる「Rondo」です。
鏡面に磨き上げられたスティール製の彫刻は、ジータ自身が「制御の中に偶然性を残す」と表現する独自の技法によって、膨らみを帯びた有機的なフォルムに仕上げられています。
高度な技術によって形を導きながらも、素材そのものが表情を見せる余地を残すという考え方は、Czapekの時計づくりにも通じます。その曲面に来店者の姿が映り込むことで、Czapekにおいてもっとも希少な存在は、時計そのものではなく、それを身につける人であることを思い起こさせます。

専用のリビングルームでは、時計製造やコレクター向けサービスについて、より深い対話を交わすことができます。一方、メインギャラリーでは、Czapekの幅広いコレクションやキャリバー、さらにはヴィンテージウォッチまで見ることができます。
このブティックは、Czapekがこれまで大切にしてきた考え方を、物理的な空間として表現したものです。
時計は取引の終点ではなく、関係の始まりである。
原点から、次の時代へ

フランソワ・チャペックが時計師としての歩みを始めたケ・デ・ベルク。その湖畔へ帰還した新しい旗艦店は、ブランドの過去を保存するためだけの場所ではありません。
歴史、時計、芸術、そして人が出会い、そこから新しい対話と関係が生まれていく場所です。
ジュネーブにおけるCzapekの新たな拠点であると同時に、世界各地から集う時計愛好家やコレクターが、ブランドの世界観をより深く体験できる場所となります。

約2世紀前、ケ・デ・ベルクから始まったCzapekの物語。その原点へと帰還したメゾンは、ケ・デ・ベルク27番地から、再び新たな章を刻み始めます。