Czapek「プロムナード トランスペアレンシーズ アクアブルー」― 透明の奥にある技術
Czapek(チャペック)より、プロムナード コレクションの新作「プロムナード トランスペアレンシーズ アクアブルー」が発表されました。

半透明のサファイアクリスタル製文字盤と、自社製スケルトンムーブメント「キャリバー SXH7」が織りなす、わずか38本の限定モデルです。
写真を見れば、その透明感のあるブルー文字盤と、そこから覗くムーブメントの美しさにまず目を奪われます。しかし、この時計の本当の価値は、単に「透明な文字盤を使ったスケルトンウォッチ」というだけではありません。
その美しさを成立させるために、文字盤の製造方法からムーブメントの構造、そして仕上げに至るまで、通常とは異なる非常に多くの工夫が施されています。
「プロムナード トランスペアレンシーズ アクアブルー」を見たとき、まず目を引くのは、ブルーから透明へと移ろう独特の文字盤でしょう。
しかし、この文字盤は単純にサファイアクリスタルをブルーに着色したものではありません。
金属蒸着で生み出すブルーのグラデーション
ブルーのフュメ・グラデーションは、サファイアクリスタルの裏面に金属コーティングを微細なドット状に蒸着する「メタライゼーション」と呼ばれる技術によって生み出されています。
形成されるドットの大きさは直径約8ミクロン。人間の髪の毛よりもはるかに細かなレベルです。
さらに、そのドットの密度を文字盤の場所によって変化させることで、外周では深いブルーを見せながら、中央部では高い透明性を残しています。

つまり、色を塗ることによってブルーを表現しているのではなく、金属蒸着の密度そのもので色と透明度をコントロールしているのです。
ここに、この文字盤の難しさがあります。
ブルーを濃くすれば、その奥にあるムーブメントが見えにくくなる。反対に透明度を優先すれば、文字盤としての存在感が弱くなる。
その相反する二つの要素を両立させるために、非常に繊細な加工が必要とされています。
このモデルに採用されるのは、ブルー・フュメのメタライゼーションを施した半透明サファイアクリスタル製文字盤です。
さらに、ライトブルーに着色された立体的なSuper-LumiNova®製アプライドインデックスが配され、暗所ではブルーに発光します。
「見えるようにした」のではなく、「見せるために作り直した」ムーブメント
そして、その透明な文字盤の奥にあるムーブメントも、単に既存のムーブメントをスケルトン化しただけのものではありません。
自社製キャリバー SXH7は、キャリバー SXH5をベースとしながら、文字盤側から見たときにも美しく成立するよう、専用に再設計されたムーブメントです。
ムーブメントの外周から内側へ向かって伸びる7本のオープンワーク・ブリッジは、19世紀にフランソワ・チャペックが製作した懐中時計に見られる複数ブリッジの構造を直接的に引用しています。
さらに、文字盤側からムーブメント全体を明確に見せるため、脱進機の配置そのものを反転。
スモールセコンドを4時30分位置へ移動し、4番車から直接駆動できる構造としています。
それだけではありません。リューズからの巻き上げや時刻合わせを担う機構についても、文字盤側に正しく配置されるよう設計し直されています。

つまり、透明な文字盤を載せた結果としてムーブメントが見えるのではありません。ムーブメントを見せるために、ムーブメントそのものを作り直しているのです。
100%リサイクル・プラチナから削り出されたマイクロローターには、表裏の両面にエングレービングが施されています。
表も裏も「見える」からこそ、仕上げにも妥協できない
さらに重要なのが、ムーブメントの仕上げです。
一般的な機械式時計では、ムーブメントの装飾や高度な手仕上げは、主にシースルーバックから見える側を中心に施すことができます。
しかし「プロムナード トランスペアレンシーズ」では、ムーブメントが文字盤側からもケースバック側からも見えます。
そのため、片面だけを美しく仕上げるという方法は通用しません。
オープンワークを施した巻き上げ用のラチェットホイール、サンドブラスト仕上げのブリッジ、手作業で面取りされた鋭い内角、そして直線状の筋目を施した側面。
これらの仕上げは、ムーブメントの表裏の双方に同じレベルで施されています。
チャペックによれば、その結果、片面のみを仕上げるムーブメントと比較して、必要となる手作業による仕上げ工程は実質的に2倍になります。
「高い」のではなく、「なぜ高くなるのか」
ここまで見ていくと、「プロムナード トランスペアレンシーズ アクアブルー」の価格を、単に「限定38本だから」「スケルトンだから」「サファイアクリスタル文字盤だから」という一つの理由だけで説明することはできないことが分かります。
特殊なメタライゼーションによるサファイアクリスタル文字盤。
その透明性を活かすために再構築されたムーブメント。
そして、表裏のどちらから見ても成立させるために必要となる、多くの手仕上げ工程。
一見するとシンプルな「透明」という表現を完成させるために、通常以上の設計、加工、仕上げが積み重ねられている。
それこそが、この時計を特別な存在とし、その価格を形づくる理由のひとつといえるでしょう。
静止画では捉えきれないサファイアクリスタル文字盤の透明感やブルーの変化、そしてその奥に広がるキャリバー SXH7の立体感は、動画で見ることでさらに鮮明に感じることができます。
38mmケースと基本スペック
キャリバー SXH7は自動巻きで、振動数は4Hz(毎時28,800振動)、石数は25石、パワーリザーブは60時間です。
ケースは直径38mmのステンレススティール製。カーブを描くラグと立体的にえぐられたケースサイドによって、ケース厚10.8mmというスリムなプロポーションを実現しています。
文字盤側の風防とケースバックはいずれもサファイアクリスタル製で、内面には反射防止加工が施されています。
防水性能は50mです。

プロムナード トランスペアレンシーズ アクアブルー 主な仕様
- モデル:Promenade Transparencies Aqua Blue
- ケース:ステンレススティール
- ケース径:38mm
- ケース厚:10.8mm
- 文字盤:ブルー・フュメのメタライゼーションを施した半透明サファイアクリスタル製文字盤
- インデックス:ライトブルーに着色された立体的なSuper-LumiNova®製アプライドインデックス。暗所ではブルーに発光
- ムーブメント:自社製自動巻きキャリバー SXH7
- 振動数:4Hz(毎時28,800振動)
- 石数:25石
- パワーリザーブ:60時間
- 防水性能:50m
- 限定数:38本
「チャペック プロムナード トランスペアレンシーズ アクアブルー」は、2026年8月20日より、世界各国のチャペック正規販売店、ジュネーブのフラッグシップ・ブティック、およびczapek.comのみで注文を受け付けます。