ナクレという素材と向き合う | アンタークティック S アイスクラウド & プロムナード ミッドナイトパール

ナクレという素材と向き合う | アンタークティック S アイスクラウド & プロムナード ミッドナイトパール

ナクレが拓く新たな表情

アンタークティック S アイスクラウド & プロムナード ミッドナイトパール

2月、チャペックはひとつの素材に目を向けます。
マザー・オブ・パール、すなわちナクレ。

自然が生み出すこの有機的な層は、光を受けるたびに表情を変え、二つとして同じ輝きを持ちません。静かでありながら奥行きを湛えたその素材は、古くから時計製作に用いられてきましたが、その扱いは決して容易ではありません。

Czapek: Antarctique S Ice Cloud & Promenade Midnight Pearl(マザー・オブ・パール文字盤の限定モデル)

今回発表された「Antarctique S Ice Cloud(アンタークティック S アイスクラウド)」と「Promenade Midnight Pearl(プロムナード ミッドナイトパール)」は、同じナクレという素材を出発点としながら、まったく異なるアプローチによってその可能性を引き出しています。


ナクレという素材

ナクレは、軟体動物の内殻層から形成される天然素材です。幾重にも重なった微細な層が光を反射し、虹色の揺らぎを生み出します。その美しさは偶然性と有機性に支えられ、同一の模様は存在しません。

マザー・オブ・パール(ナクレ)の加工工程(Czapek / GT Cadrans)

しかしその繊細さゆえに、加工は極めて難しい。薄く削り出す工程、温度管理、接着、仕上げ――いずれも高い技術と経験を必要とします。

※ ナクレの加工・仕上げの雰囲気を、映像でご覧いただけます。

素材を活かすか、あるいは壊してしまうか。その境界は非常に繊細です。

チャペックは今回、この素材に対し二つの異なる解釈を提示しました。


氷の空を描く ― Antarctique S Ice Cloud

Czapek Antarctique S Ice Cloud(アイスクラウド)マザー・オブ・パール文字盤

アイスクラウドに採用されたのは、「ナクレ・ブロイエ」と呼ばれる希少な技法です。現代のウォッチメイキングではほとんど目にすることのない装飾方法で、散りゆく雲を思わせる幻想的な効果を生み出します。

※ Ice Cloud の表情は、動きの中でさらに奥行きを増します。

まず、ホワイトマザー・オブ・パールをわずか0.2mmまで薄く加工。その裏面に、職人が馬毛の筆を用いてニスを塗布し、雲状の模様を描いていきます。一筆ごとに生まれる揺らぎはすべて異なり、文字盤はそれぞれ唯一無二の個性を宿します。

その後、100℃を超える温度で焼成。ニスは永久に定着し、氷の空に浮かぶ雲のような静謐な景色が完成します。

Czapek Antarctique S Ice Cloud(アイスクラウド)の文字盤ディテール(ナクレ・ブロイエ)

GT Cadrans社において、この技法を担える職人はただ一人。その希少な技能が、アイスクラウドの特別な存在感を支えています。

Czapek Antarctique S Ice Cloud 着用イメージ


夜を湛える ― Promenade Midnight Pearl

Czapek Promenade Midnight Pearl(ミッドナイトパール)文字盤

一方、プロムナード ミッドナイトパールはより構造的なアプローチを採ります。

※ Midnight Pearl の光のレイヤーは、映像でより鮮明に伝わります。

タヒチ産マザー・オブ・パールの上に、ブルーアベンチュリンガラスを重ねた特許取得済みのサンドイッチ構造。厚さ約0.2mmのナクレと、同じく約0.2mmまで薄く加工されたアベンチュリンが重なり合い、奥行きのある光のレイヤーを生み出します。

Czapek Promenade Midnight Pearl 文字盤ディテール(アベンチュリンガラスの層、アベンチュリン×タヒチ産ナクレ)

最大の難所は4時30分位置のスモールセコンド。アベンチュリン層を正確に切削しながら、下層のナクレを損なわない加工が求められます。極薄素材ゆえに破損のリスクは高く、忍耐と熟練が不可欠です。

完成した文字盤は、星屑のようなきらめきとナクレの虹彩が重なり合い、静かな水面に映る真夜中の空を思わせる深い表情を湛えます。

Czapek Promenade Midnight Pearl 着用イメージ


独立系マニュファクチュールの視点

これら二つのモデルは、単なる装飾の違いではありません。素材そのものをどう設計し、どう活かすかという問いに対する、チャペックの回答でもあります。

アンタークティック Sには自社製キャリバーSXH5を、プロムナードにはSXH5.1を搭載。視覚的にも美しい建築的ブリッジと、単一香箱による約60時間のパワーリザーブを備えたムーブメントは、素材の表現を支える確かな基盤となっています。

自然素材の揺らぎと、精密機械の構造。
その対話こそが、今回の二つのタイムピースの核心です。


アンタークティック S アイスクラウドおよびプロムナード ミッドナイトパールは、それぞれ限定生産となります。詳細な技術仕様や制作背景については、プレスリリース完全版をご覧ください。

ナクレという素材が見せる、二つの表情。
同じ出発点から生まれた、まったく異なる風景です。

プレスリリース完全版はこちら

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